『人類史上最大の犯罪』
2003年に新潮社から出た単行本の文庫化。
人類史上最大の犯罪に挑んだ作品として知られるミステリ。明確なメッセージ性があり、政治的な話が盛り込まれ、著者のミステリというものへのスタンスが強く伝わってくる。
そういうところが、私はちょっと苦手だが、これはこれでありなのかも知れない。
もちろん、ミステリとしてもしっかりと面白い。意外な犯人、ミス・ディレクションと、きっちりとつくられているのだ。ただ、テーマの重さの前に、かすんでしまっているような気も。
物語の全体に仕掛けられた「謎」も興味深い。結局、解決は与えられないのだが、考えさせられる構成になっている。
角川書店 エ660円