『超未来の世界を描いたSF』
一人の少女を語り部として描かれる日常。
彼女の生活を通して徐々に明らかになる「新世界」。
このだんだんと世界が見えてくるところが実にゾクゾクする。この本の真骨頂だ。
一人称の記述によって世界観が明らかになるのは、江戸川乱歩の「孤島の鬼」という傑作があるがそれに匹敵する。その独自の世界は気持ちの悪さもあって「家畜人ヤプー」を髣髴とさせる。
最終的に描かれた「新世界」は実に完璧に描写されている。この世界観がすごい。
圧倒的な読後感であった。
講談社 エ1,995円