『大人にとっての子供』
どんなことがあっても無条件に愛することができるものが自分の子供です。例え五体が満足でなくても、例え出来が悪くても親というものはそういうものだと思います。それが、義理の子供だった場合、はたしてそこまでの愛情を注ぐことができるのか?本書を読んでそのことを真剣に考えてみましたが、きっと無理だと思います。もちろん愛情を注いで義理の子供を育てている人も多いと思いますが、「実の子供と分け隔てなく」というわけにはいかない部分がどこかにあると思います。そんな男を描いたのが本書です。よくある綺麗事ではなく、実子と比べて愛情を注げない事に悩む大人とそれを感じている子供の物語です。それでも人間には情があります。愛情と情は全く違うのかそれとも努力によって情が愛情に変わるのか。そんな大きな問題について真剣に悩んでしまう本でした。
幻冬舎 エ600円