◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

桜庭一樹 書店

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
天童 荒太
湊かなえ書
飯嶋和一書

業界最大級電子書籍サイト
人気タイトル大量入荷中!!

繝GゴイストEGOIST > 桜庭一樹 書店


少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)



『真っ当な少女の魂』
   〈不幸をウリにするなんて下品だってこと。(中略)不幸は、
    口に出したら自分の魂を汚してしまう気がするんだ。〉


近年の小説の登場人物は、隙あらば、自分のトラウマを
振りかざし、「不幸自慢」をしているような印象があります。

本作の主人公・大西葵は、本能的にそういった
傾向の卑しさや虚しさを知っているといえます。


無職でアル中の義父からはDVに遭い、親であるより、
女であることを優先する母には重荷に思われている葵。

しかし、そんな状況を葵はありのままに受け入れ、特に親に対して、
怨嗟の念を募らせることもなく、なんとか日々をやり過ごしていきます。

自分だけが特別不幸なのではないし、他人に相談したところで
現実が変わるものではないと悟っていたからでしょう。


また、本作におけるゲームの扱われ方も、じつに暗示的。

葵にとってゲームは、鬱屈する感情を発散させる安全弁であると
同時に、淡い想いを寄せる幼なじみとの絆でもありました。

その象徴ともいえるメモリーカードを、
義父はあっさりと握りつぶしてしまいます。

それはそこに宿ったデータという名の「命」や、
幼なじみとの思い出まで破壊されたことを意味します。

俗耳に馴染む「ゲームをしていると命に対する想像力を失う」
という紋切り型の批判に対する皮肉と挑発といえるでしょう。


本作は、深刻なテーマが扱われていながら、重さを感じさせず、決して
ハッピーエンドとはいえないラストでありながら、読後感も爽やかです。

それはひとえに葵のどこかとぼけたお茶目さと、
その精神の健全さに負うところが大きいと思います。


そんな葵が、「時代」にサクリファイスとして選ばれて
しまうのは、ある意味、必然だったのかもしれません。
東京創元社 1,470円

次へ
戻る
重松清
奥田英朗
佐藤多佳子

横山秀夫
三浦 しをん
有川浩
万城目学
小川洋子

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

(C)桜庭一樹 書店
キーワード:


imodeBEST100imodeBEST100
uimodeBEST100u
ソSoftBankBEST100ソ

SoftBankBEST100SoftBankBEST100
EZwebBEST100
嚮g帯サイトランキングフ
繝GゴイストEGOIST > 桜庭一樹 書店