『なんということのない殺人』
C's wareという会社の出しているゲーム『EVE』をもとにしたオリジナル・ストーリーの小説。
桜庭さんは、これ以前にシナリオを担当したり、山田桜丸名義で小説『EVE ZERO』を手掛けたりしてきたという。本書は、『EVE TFA』の約一ヶ月前の話として書かれたものらしい。
ゲームに関してはまったく知らず、前作も読んでいないので、限られた内容の感想になる。
ストーリーとしては、残虐な連続殺人をハードボイルドな私立探偵が追っていくというもの。ちゃんとどんでん返しも用意されているし、入り組んだ人間関係も面白い。良心的につくられた推理小説といえるだろう。
しかし、それだけでしかないのも事実。特に優れた作品ではない。
何より残念なのは、初期の作品ということもあり、桜庭さんらしい文体があらわれていない点。味わいに欠ける。
エンターブレイン エ円