『初めての恩田陸作品』
友人に薦められて読みました。しかし私には合わなかったようです。
まず、登場人物が全員あまりにも不自然です。それぞれが特別な家庭事情があり、揃いも揃って性格が大人です。その不自然さを自然に感じさせるのが小説家であるのに、この作品は作者(女性)の理想とする男子高校生像が前面に押し出され、読んでいる私は置いてけぼりにされてしまいました。
そして、ミステリー(?)要素ですが、一つ出してはすぐ解決。そしてまた出してくるという手法で最後まで読みたいと思わせるものがありません。そのミステリー要素も中盤でほぼ消失し、最後はヒューマンになだれ込んで終わります。
また、主人公に対して仲間の一人が好きだと度々言っていますが、この同性愛発言が本音かどうなのか全く判断が付きません。作品の中に考えさせるヒントが全くないのです。すべては作者の頭の中にあり、私たちがそれに触れることはできないのです。
なんだか余りにも「作られた」小説で流し読んでしまいました。
集英社 エ540円