『「これ、もしかして、犯罪?」「10月はSPAMで満ちている」より』
「この子の絵は未完成」乙一
私の息子「遊馬」の描く絵は匂いつき。幾ら言っても遊馬には「絵には匂いがない」との自覚がなくて問題を引き起こしている。無難に花の絵を描くように言うのだが…
「赤い毬」恩田 陸
母の実家は海のそばにある。ある時海に向かうと一面の熊笹畑に出てしまい、赤い毬を手にした女の子に会う。交互に毬つきをして遊ぶのだがあの子は?
「百物語」北村 薫
サークルのコンパの後、安丘は酔ってしまった後輩の美都子を家に上げるはめになる。寝るわけにもいかずふたりは百物語を始める。
「天使のレシート」誉田 哲也
三澤はコンビニに気になる店員がいる。名を「天使」といってある日、土手で「まるナゲくん」を投げてカラスに餌付けしてる天使に会う。
「浅敷がたり」西澤 保彦
沙理奈は実家から大学に戻る飛行機が遅延し、笹絵に偶然会う。笹絵は父親が危篤、とのいたずら電話に呼び出されて空港に来たらしい。その後飛行機事故が起こり…
「10月はSPAMで満ちている」桜坂洋
ぼくはSPAMを制作する妙な会社に就職してしまう。昼休みコッペパンに魚肉ソーセージをはさんで食べていたら醍田という人物に「猫に餌付けするな」と怒鳴られる。
「哭く姉と嘲笑う弟」岩井志麻子
ぼくは突然に帰って来た姉を陰鬱で花やかな屋敷の秘密の部屋で待っていた。姉は嫁に行く前には寝床で、納戸で、ぼくにいろいろなお話をしてくれた。
薄っぺらであとがきすらない割に400円とはお高いじゃありませんか。ほどほど名の通った作家を連ねた短編集。「お気に召したらこの人の作品も当社には揃っていますのでどうぞ」的な作品集。
…のわりには程度が低いのがさみしい。少なくとも「ぼっけい、きょうてぇ」以外は読む気しないぞ。しかもこの本は角川ジャン…(この作品集は新潮文庫)。せっかくの乙一も「?どうしたよ?この切れの悪さ」で、がっくりした一冊。「七つの怖い扉」も期待できなさそうだからやめとこう。
新潮社 エ420円