『ストレートな青春小説』
実は恩田陸ってあんまり好みの作家じゃなかった。
「ライオンハート」でイマイチ…と思いながら、
懲りずに「光の帝国」「不安な童話」を読んでも、やっぱりうーん…。
最後の1冊と思って、「夜のピクニック」を買ってみた。
物語の舞台が、高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
夜を徹して80キロ歩き通すという地味なシチュエーションの中で、
主人公と同級生達の感情と状況の描写が上手いと思った。
時間軸とストーリーがちゃんとリンクしてて、
物語がきれいに流れていく感じ。
ほんとにストンとした打算のない感じの青春小説。
逆に打算的なのかな?
ちょっと登場人物に「人間らしさ」がなさすぎる。
どこか遠くの夢物語みたい。
実際の高校生って、もっと傲慢で子供で無邪気だと思う。
あんな超越してないよ。
でも
「みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。」
このセリフは好き。すごく分かる気がする。
そういう事ってあるよねって思う。
青春ってそういう事だねぇ。
まだなんとも判断しづらいので、
もうちょっと読んでみるかもしれない。
新潮社 エ660円