『発酵食品と人間関係の不思議』
発酵食品をまとめた限定本の制作を依頼された主人公が日本各地で味噌や醤油などを取材し、それに触発されて自らも糠漬けを作り始める。普段何気なく使っている発酵食品が実に神秘的にできていることに驚く。読んでいても主人公と一緒に発酵食品のすごさに引き込まれていく。読み終えると、自分でも糠漬けを作りたくなって・・・糠漬けの参考書としても面白いし、役にたちそうだ。
そして、この取材と同時に主人公の周りの人間関係、父の不慮の死にまつわる人間関係や祖母の抱えていた家族との複雑な関係などが解き明かされていく。そのストーリー展開の面白さもこの本の魅力となっている。発酵食品にまつわる複雑な要素と人間関係にまつわる複雑な要素がまさに「にぎやか」に繰り広げられていく。
中央公論新社 エ660円