『ほのぼの? 登場人物の魅力たっっぷり。』
登場人物の魅力が溢れんばかりの作品。複雑なことが好きでない、適当に生きているが、人間味溢れる平次郎に、勝気でしっかり物で、他人をほっておけない煮物屋のお徳さん。義理がたく、何でも一生懸命な差配人の佐吉。春を売る仕事をしてちゃきちゃき物だが、根はとてもいい人なおくめさん。頭が良くてなんとなく生意気な烏の官九郎。平次郎のお付で、「うへえ」が口癖の小平次。親に捨てられて、少し頭が鈍いが、佐吉のもとで一生懸命生活している長助。みんなとっても魅力的で大好きになりました。
でも特にお気に入りなのが、会話を文に書くように暗記できる、おでこのひろ?い子どものおでこ!それと、おでことは対象的に誰もが振り返るほどの文句の付けようのない美形のこどもの弓之助!この二人が出てくるたびに、心がポカポカします。おでこは、教科書を丸暗記するように話を覚えるので、その話の記憶を頭の中から引き出すときに、白目になったり、途中で話を遮られると、また始めから巻き戻してはなさなくちゃいけないところとか、すごく可愛いです。返事が「あい」って所も可愛い。弓之助は子どもなのに頭がとっても良くて大人と対等に話ができるのに、おねしょ癖が直らずえんえん泣いたり、話の途中で足を痺らせてころ?んと転げたり、たまに見せる子どもの部分がとっても可愛いです!
湊屋総右衛門がどういう人物で何を考えて長屋から店子を追い出したいのか、結末が気になり、下巻は結構一気に読み終えました。鉄瓶長屋から店子を追い出そうとした黒幕の湊屋は結局何のお咎めも受けず、なんだかまだ真相ははっきりしないような感じでした。総右衛門が全く反省していないところは腹が立ちました。でも平次郎がいつもの調子で、このお話をまとめてくれた感じで、後読感が悪いとかは全然感じなかったです。佐吉さん、どうか幸せになって?!私はこの作品大好きです。読んでいない人は是非読んでみて欲しいです。
講談社 エ1,890円