『読書の幅を広げてくれます。』
短編集多々ある中で、北村薫、宮部みゆき編の各種アンソロジーはいつも知り得なかった読書世界を見せてくれて興味深いものです。
(「謎のギャラリー」シリーズとか「松本清張短編集」とか。)
今回も目利きの二人だからこそのセレクトで、一口では言い表せない多種多彩なラインナップとなっています。
城山三郎「隠し芸の男」はよくあるサラリーマンの悲哀ものを超えて、人間の業を描いた凄みすら感じる作品。
多岐川恭「網」は連作短編の中の一編ということですが、ラストの脱力感に脱帽。これは全編読みたくなりました。
その他ラスト2編、井上靖「考える人」円地文子「鬼」も味わいがたい余韻を残す作品で、こういった作品を知り得たことを嬉しく思える作品です。
読む人によって感じる作品もそれぞれだと思いますが、読書好きな人は読んで損なしだと思います。
筑摩書房 エ798円