『表現する力』
僕は以前、原作の小説を読んでいたのですが、途中で投げ出してしまいました。
面白くなかったとかではなく、なんとなく世界をイメージしづらくなってしまい、
いつのまにか部屋の隅に積んでいました。
それから何年か経ち、つい最近漫画の1巻をなんとなく手にとっていました、
前々から気にはなっていたので、とくに読みたい漫画もないし、
大して内容には期待せず、いい機会だから読もうと思い買って帰りました。
それからはもう、ハマリにハマって1週間もたたないうちに全巻そろえてしまい、
今は最終巻を読んだ後の心地よい読了感にひたっています。
(この物語を読んで)
まず、僕が最初に小説を読んだ時から思っていたこと、それは、
主人公ワタルの願いは、少々子供じみているのではないか、
たしかにツライ出来事ではあるが、他の旅人の願いに比べると、
小さく、願うまでもないことではないのではないか、
そんな風に思っていたこともりました。
ですが、願いの大小など、人によって違うもの、ましてや比べるまでもないもの。
僕達は一人一人違う人間として生きて、そして死んでいく。
その中で大切なのは今自分に出来ることを先延ばしにせず、
一つ一つこなしていくこと、そのような事を教えてもらったような気がします。
とてもすばらしい物語でした。
最後には涙があふれ、とめようとも思いませんでした。
原作の小説も勿論素晴らしい出来だと思います、ですが、
原作と、この漫画を比べて、どちらかを貶めるのはとても悲しいことではないでしょうか?
どちらも素晴らしい物語、それでいいと思います、そう思ってくれる事を願います。
もしまだ手にとっていないのであれば、
ぜひとも目を通していただきたい、
僕が最近読んだ中でも珠玉の物語だと思います。
この素晴らしい読み物を多くの人が読んで、そして、感動してくれることを
一読者として願っています。
新潮社 エ530円