『この本、読んで良かった。後世に残る傑作です。』
二千ページを超える大作の完結巻です。
あまりの面白さに、寝ずに読んでしまいました。
読み終えた後は全身の力を抜かれました。魂を抜かれたかのよう。この本は、凄いです。
読者には明らかにされている事実を徐々に登場人物達に浸透させていく手法も見事ですし、それぞれが知恵を絞って犯人の嘘を見破っていくあたりは本当に興奮されられました。
終わりのほう、老人と犯人の対峙の場面は、泣きました。ラストも泣きました。
犯罪に対する世間のあり方や筆者の思想もきちんと描かれており、人間関係には血が通い、仕掛けやミスリードも存分に味わえます。エンターテイメントとしてもミステリーとしてもこれだけの完成度を誇るおはなしはそうあるものではありません。
世の売文業の皆様、くだらない小説を出す暇があったらこの本を読んで少しは勉強して欲しいものです。今更ですが作者の力量は本当に恐ろしいです。宮部みゆき氏を超える女性作家は、しばらく現れないのではないかと思います。
また五冊それぞれの表紙がとても良いですね。この物語を実に巧く表現しています。
新潮社 エ780円