『超絶技巧のストーリー展開』
著者の作品はこれまで「模倣犯」しか読んだことがないが,その作品の続編ということで読んでみることにした.
ストーリーは「模倣犯」の事件から9年が経った設定で,事件で大活躍したが,大きな心の傷を負ったフリーライター・前畑滋子のもとに,荻谷敏子という女性が12歳で事故死した息子に関する不可思議な依頼を持ち込むという内容で始まる.その依頼内容とは,女性の息子が,予知能力を持つ超能力者だったかも知れないので,その真偽を調べて欲しいという突飛なものだった.
ストーリー展開は非常に巧妙で,読者を引き込む文章力は,さすがとしか言いようがない.詳細はネタばれのため割愛するが,思いもよらない展開が随所にちりばめられ,読者を飽きさせない流れは素晴らしい.また途中に断章がいくつか挟まれていて,それが後のストーリーに関連するという仕掛けも面白い.
文藝春秋 エ1,700円