『笑いながら読める林業小説』
これほど大笑いしながら読んだ本は久しぶりな気がします。めったに小説の舞台になることのない林業の世界を描いたという、画期的な挑戦も高く評価したいと思います。
突然、未知の世界に放り込まれた主人公が、そこでの悪戦苦闘を経て成長していく物語はよくあるように思います。放り込まれた先がおとぎの国であったり、老舗旅館であったり…。しかし、林業の世界を舞台にした話はこれまでなかったのではないでしょうか。
また、この本では林業の厳しさだけでなく、その魅力もとてもよく描かれています。新しい小説の舞台として、一般にはなじみはないけれど、大変面白く魅力的な林業という世界を選んだという作者の挑戦に拍手を送りたいと思います。
ややマンガチックな展開ではありますが、読んでいて大笑いしてしまった本は久しぶりでした。落語を聞くような感じで最後までお話を楽しめました。
これから主人公は、どのように神去村に根をおろしていくのでしょう。山太君はどのような青年に育つのでしょう。愛すべき村人たちの今後が気になります。続編が早く読みたいです。
徳間書店 エ1,575円