『ホラーとは一線を画する』短編集なのだが、どの作品もいくつかのキーワードで世界が繋がっているところが面白い。 森見作品には珍しいホラーなのだが、戦慄するような恐ろしさではなく肌にまとわり付くような湿り気を帯びた冷気を窺わせる上質の"怪談"である。 私個人としては『果実の中の龍』が面白かった。ある短編のメタファーになっているところは驚かされた。 新潮社 エ1,470円