『本としてか、写真集か、受け手によって評価は変わる本』
吉田修一の本だと思ってしまうと拍子抜けする。
けっこうこの定価で高額なんだけど、前半は写真が主だからだ。
後半の吉田修一の短編を読みながら、作品のタイトルが付いた写真を見るのはけっこう忘れる。
日常生活の中で人々が雑踏の中で隠してきた思いみたな少し淋しい感情を描いてる短編集は、読み始めると次の短編が気になって文章だけに集中してしまうからだ。
今の自分に気付いてとか
失った過去を思い出してとか
辿り着きたくない結果から逃げたい思いとか
戸惑う色々な人の感情が短編で味わえる。
吉田修一だけ、文章だけでもう少し安く出版してくれたと思った。
つまり、私にはこの写真はあまり好きではなかったからだ。
光文社 エ2,100円