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『地味で目立たない地方都市のOLの恋の行方が気になってしまうんだから、大したものだ!』
吉田修一の小説の魅力は、描かれる都会の情景が詩的で美しく心に染み入ってくること。でも、本作は地方都市の平凡な冴えないOLを主人公としたせいか風景まで冴えず小説の魅力減。筋立ては、冴えない女の子がウジウジしながら憧れの格好いい彼氏にアプローチするという「少女漫画」をベタでいくスタイルで男性読者にはつまらないかもしれない。
各章の表題が地味で目立たない女の特徴をズバリ描いている。「モテる男が好き!」、「イヤな女にはなりたくない」、「どちらかといえば聞き役」、「初体験は19歳」・・・「間違えたくない」など、男性としては、これじゃ「いい男」を捕まえるのはNGだろというところだが小説の方はかなり期待をもたせてくれる。
「主人公」と「モテる先輩」。「主人公のモテる弟」と「冴えない彼女」。「冴えない職場の同僚」と「モテる先輩の元カノの奥さん」。「元カノの奥さん」と「モテる先輩」の不倫。冴えないが心安らぐ男からのアプローチ。小説の構成がとても良く出来ていて、三つ巴、四つ巴の恋の行方が気になり最後まで読ませる。結局、主人公が選んだのはこの男か、というところで読了する。なかなかの良書です。
新潮社 420円