『読んでいてつらくなる・・・しかし胸に刻まれる何かがある』さらっと読めてしまえば楽なんでしょうが、それを許さないようなオーラというか情念が作品にこもっている気がします。 なぜこの作者はここまで人間のつらい部分に目をそらすことなく向き合えるのか・・・その才能だけで脱帽です。 作家というものは長編か短編のどちらかの才能しかないと誰かが言っていましたが、これは各作品とも短編として完成度が高く、主に長編作家である天童荒太の可能性を感じさせてくれます。 集英社 エ600円