『読者参加型で面白くとっても愛知的な本。』
第一章では重松清の「ワニとハブとひょうたん池で」やカフカの「変身」などを使って表現力や発想力を養っていきます。
小説の描写を鋭い視点で扱っていてとても面白いです。
制服と与謝野晶子作曲の校歌と校門のアヤシイ通風口などで有名な女子中学で行われた
藤原和博や重松清の実際の授業にそって説明が行われるので、読みやすいです。また、授業の内容自体も面白くて
知的であり、一緒に生徒になったつもりで参加できる形式になっていて考えさせられてしまいます。
後半、なぜか古典文学の話になるので蛇足な気もするのですが、中盤までは国語力を鍛えるのに大変役に立つと思います。
また、古典に興味がある人は橋本治という超売れっ子文筆者の古典講座というのは大いにそそられるものだと思います。
正直重松清は大ファンですが、よりによって『ナイフ』というあまり子ども向けではない極端な小説から引っ張ってくる
ことはないかな、と思いました。ただ極端な描写は出てこなくて本当に上手な描写をしているシーンをピックアップしている
のでまぁいいかな、と。
私は学習塾で教えているので、この本を実際に中学受験の面接対策、口頭試問対策、作文対策として使用していました。
子どもが面白がって興味を示してくれるし、現実的で、思考力もつけられ紋切り型の答えを覚えさせる塾なんかより
よっぽど効果を発揮したと思います。
品川女子学院で行われた授業をなぞる形で進めましたが、非常に面白く生徒と議論することができ、学力の向上にも役立ちました。
子どもでもわかるほど平易で、しかも鋭い分析がしてあり、使いよう、読みようによっては非常に素晴らしい教科書になります。
内容自体も面白いし、実際に教育の現場でも面白がられる一冊だと思います。
新潮社 エ円