『エロだけではない、何か』
重松さんの官能小説。
性描写はさすがに官能小説と言うだけあって
ねちっこいし、エロティックです。
が、本題はそこにあるのではなく、
青春時代の後悔をなぎさを通して払拭させるところにあり、
それを通して
初恋の女性の悲しい生涯を変えたり、
自分の思いを解放するところにある、ように思える。
本作の主役、敦夫は
中学生のときの初恋の相手を救うために
過去へ意識を飛ばす。
もちろん、セックスから来る快感を味わうことになるのだけれど、
それだけじゃない何か大切なものを
得ることになる。
最終的にはその初恋の相手も救うことになるのだけれど、
結果的には敦夫自身が一番救われているのではないか、と。
エロ、だけではない、何か大切な物を思い出させてくれる作品でした。
小学館 エ440円