『春や夏とは、少し異なる』
このシリーズ、春・夏と出版されたので、秋・冬と続くものと予想し、
本書「秋」が出版されたら、すぐに購入して、読んでみた。
結果、著者独特の世界を、堪能出来たが、春や夏とは、少し異なる印象だ。
秋なので、意識的に、少し感傷的な作品が、集められているのかも知れないが、ややインパクトが少ない。
本書では、人が人を想い遣る、少し屈折した感情が、鮮やかに描かれてはいる。
ただ、その感情に込められた情熱のボルテージが、十分に高いとは言えない。
それ故に、結末が、少々平凡にも感じてしまう。
私は、このシリーズで垣間見る、少年(または少女)の、エネルギッシュな情熱や情念を期待した。
しかし、読後の満足度は、春や夏程ではなかった。
気軽に、楽しく読めるが、著者独特の「泣かせ」の要素は少ない。
少し感傷的な作品が、集められているのに、だ。
「冬」の発売を待つし、予約購入予定だ。
文藝春秋 エ1,500円