『ひさびさに泣けなかった。』
私の中で、泣きたい時は重松さん!っていうのがあるのですが、今回の小説はめずらしく泣けませんでした。
1995年(震災とオウム事件があった年)から、6年間の5月1日だけを抜き出し、三人の主人公の目線から描いた作品。
試み自体は面白いと思うのだけれど、各年の時代背景を明らかにするために、やたらに新聞の記事が羅列される。
その当時の野球や、世相、ああ。懐かしいな、そういえばそうだったよなとは思うのですが、あまりそればかり続けられると、途中で「・・・これは手抜きなのでは?」と感じるようになってしまいました。
もっともっと登場人物たちの考えや動き・葛藤や成長の書き込みに比重を置いて欲しかったです。
新潮社 エ500円