『子供へのメッセージ。』
重松ワールド全開の物語なのですが、他の作品群と比べて、人間の感情の奥底をえぐるような著者独特の観察眼が浅い感じは否めません。靴の中に小石が入ったときのような、あの読後感はないです。
ただ、重松氏が子供へのメッセージを込めた作品だろうなということを考えると、その浅さが、絶妙なバランスだと感じます。そして、他の作品よりも“希望”を強く感じさせる作品に仕上げっています。
思いっきり、小学生高学年の夏休みの課題図書的な作品です。
ただ、それでも、社会にもまれて疲れきった勤め人にとっても“癒し”の物語となっていることは、著者の卓越した物書きとしての才能を感じます。
個人的には“ゲルマ”が大好きです。
新潮社 エ460円