『ハハはこっそり先を読んだよ、ゴメン!』
一ページ目を読んで、ギョっとした。ジジィ?トンチキ?クソジジィッ?エ?エーーーッ。こんな言葉遣いの本、子供に読ませていいかなぁ。
だけど、実は、あっという間に、この口調にはまっちゃう。「なんか樹里ちゃんの口調っておかしい」と息子。声に出して読んでみるとなお更、おかしい。それに。ヒッヒッ、とか、んぎゃんぎゃ、とか、キャイキャイとか、ここぞ、と出てくる擬態語、擬声語のオンパレード。妙に五感をくすぐる。
そして、話はどんどん進む。そもそも、樹里ちゃんが11歳の誕生日に、イグアナをペットとして、押し付けられた事が、ハナシの発端。で、このイグアナの「飼育」をめぐって、樹里ちゃん一家に何がおこるか。涙あり。大大爆笑あり。そしてイグアナを中心に、登場人物がプラス指向に「変わる」ことで、すごく力が湧く。背筋が伸びる。イグちゃんが見せる「緑の夢」(詳しくは本を読んでね)にとっても癒される。
「ねえ、イグちゃん読もうか」と息子が毎晩せがむのだった。でも、息子にこっそり、ハハは読み終わるまで本を手放せなかった。ゴメン!
偕成社 エ945円