『読みやすくて、どこか共感できるところがあって、そして悲しい作品』
書き出しからすでに暗示されている悲劇は、読んでいる側の気持ちを暗くすると共に、この作品が単なる明るい青春物語ではないことを物語る。
こういう話が好きな人ってどんな人に多いのかな?と考えていると、PCゲームのシナリオなんかで泣けるとか言っていた友人が好きそうな話だなと思った。
たぶん、今までにここまで卑近な高校生らしさを持った主人公が、理不尽な自分たちの立場を知る作品は少なかったと思う。どこかで高尚な文芸らしさを追い求めて、「こんな高校生いないよ」って思われる主人公像が自分の中で当たり前のように感じていたのかもしれない。
もとがライトノベルらしい、ポップだけれどもそのおかげで砕けていて分かりやすいキャラクターたちが、似つかわしくない文芸的なテーマに翻弄されるのだけれども、その様子がやっぱりPCのシナリオ的だな?と。
富士見書房 エ1,470円