『サブカルチャー万歳』
いわゆる大きな意味での「嵐の山荘」状態の、ちょっと未来の日本の学園の中で繰り返される、生徒総代をねらう少年同士のバトルの物語。
と書くと「バトルロワイヤル」みたいだが、作者の手腕でそうはならない。校則破りにはいろいろな罰則があり、それが観覧車に長時間乗せられることだったり(考えると結構怖い)、ごみの山と化したディズニーランドでの貴重品探しだったり、引きつりながらも笑える。
落ちこぼれ組は、地下に無限に広がるアンダーグラウンドで、昔の(つまり現代のだな)サブカルチャーの片鱗を楽しんでいる。「ナタデココ」って何だ?とか、合言葉が「てくまくまやこん」だったりして、それが最後の「成仏」につながるあたりは見事である。ラストがお気に召さない向きもあるようだが、私はいいと思ったな。
早川書房 エ1,890円