『熱帯樹。』アパートの一室、2人の男女の探り合いと会話で成り立つ朗読劇のような小説。猜疑心、お互いが「相手があの男を殺した」と切り札を持っち腹のさぐり合う。緊張感のつづく会話。半分血の繋がった近しいきょうだいは恩田作品のモチーフのひとつ。誰か、いつ、どうやって、誰を殺したのか。謎解きや真実を突き詰めていくうちにお互いの化けの皮がはがれていく様はさすが。 中央公論新社 エ1,470円