『思い出すと怖い』
九州の箭納倉という地方都市に現れる穏やかな恐怖。失踪した人物がある日戻ってくる……ところが、その人物はどうもおかしい。
「人間もどき」が知らない内に増えているらしいということに気づいた元大学教授の協一郎とその娘の藍子、そして協一郎に招かれた音楽プロデューサーの多聞は次第に真相に近づいていくが……
恩田陸さんの初期作品ですが、恩田さんの作品らしい小説だけで完結しない「怖さ」を現実世界に持ち込んでしまう怖い作品です。
怖い小説はいくらでもあるのですが、月の裏側を想像するように現実世界に潜む恐怖を植え付けられる作品はなかなかあるものじゃありません。恩田陸さんの作品はそういう所を含めて感じることができるので……正直、怖いです。
幻冬舎 エ680円