『読後感は・・・・・・でしたが。』
冒頭での主人公の錯乱した記憶には少し戸惑いましたが、
中盤は学園内で起こる様々なミステリーに思わず引き込まれてしまいました。
伏線がいたるところに散りばめられていて、先の展開にワクワクしましたが、
回収できていないところもあるような・・
ラストで主人公の記憶が戻った後は、置いてかれた感がしましたね。
というのも、主人公の豹変ぶりに裏切られたような気がしたからです。
「え?これ誰??」状態・・
最後の最後まで、理瀬に感情移入することができませんでした。
黎二とのダンスシーンや学園の独特の世界観には魅了されましたが、
麗子の存在や死んだ生徒の幽霊の存在がどうもしっくりこないというか・・
必要なかったとまではいかなくとも、もう少し丁寧な心理描写が欲しかった気もします。
また、「黎二は理瀬を守った」はずなのに、どうも報われていない気がします。
黎二が守ったのは記憶をなくした理瀬(もしくは麗子)であり、
ラストの記憶を取り戻した理瀬ではないのです。
ラストの理瀬の中では、黎二の存在があまりにも小さいような気がしたのは私だけでしょうか。
前評判が良かっただけに、少し裏切られた気もしましたが、中盤までは誰が読んでも
楽しめる内容だったと思います。
講談社 エ750円