『数学に興味はあるけど分からない人のための本』
「国家の品格」の藤原正彦と「博士の愛した数式」の小川洋子の対談をもとにした本書では、数学の持つ”美しさ”に主眼を置いて話が展開されている。
私は数学者が常々云う、美しさ、というものが理解できなかった。数学が得意な人や、数学者は、数学はあるべきものがあり、無駄なものが省かれた状態で非常に美しいという。しかし私には何が必要で、何が余分なものかさっぱり理解できず、美しさ、に触れることが出来なかった。小川さんの作品が好きで、彼女が美しい、と作中で描写するものに共感できるため、何が何でも彼女が美しいと思うものに私も触れてやろうと思った。結果、――、無論、藤原氏の分かりやすい解説があったおかげだが、少し、数学のもつ美しさに触れることが出来たように思う。
又、数学の絶対性にいまさらながら驚愕せずにいられなかった。人類が生まれる前から、また滅亡した後でさえ、三角形の内角の和は180度であるという、文字にするとそっけないが、落ち着いて考えると恐ろしいまでの事実に私は打ちのめされてしまった。
筑摩書房 エ798円