『人生は「結果」よりも「過程」を楽しんだ方が充実する』
■読み始めたきっかけ
村上春樹の著作は、8割方読破しているぐらい気に入っており、また、
人生に大きく影響を受けています。主人公の生き方や台詞がかっこいいなあ、
なんて思いながら時々読み返しています。
今回は、読者からの様々な質問に本人が真面目に?答えるという異色の作
品です。回答を読みながら、著者の人柄や考え方がにじみ出てきて、親しみが
もてます。
■心に残る言葉
p.32 質問34 なんでマラソンをするの?
回答:僕がこうやって走っているのは、たぶん、「自分と対話をしたいからだ」
と思っています。
→私も、マラソンをしますが、同じようなことを走っていて感じたことがあり
ます。走っているときは、電話もなければメールもない。本もなければ、人か
ら話しかけられることもない(一人の場合)。となると、何をするかといえば、
自分と対話をするしかないです。わざわざ体に負荷をかけているのですから、
それに対して何の価値があるのか、自分の生きる目的は何なのか、これが終わ
ったら何を食べよう?何をしようか?など、色々なことを考えます。
体を動かしながら考えた方が、前向きで新しい視点が生まれることもありま
す。ほとんどの悩みは自分の考え方や自分の行動で何とかするしかありません
。となると、どこかで一人で考えないといけません。走っているときはそんな、
「考える」いい時間だと思っています。
p.123 自分が何をしたいのか分からない
回答:人生で大事なのは「何を得たか」ではなく、「どのように求めたか」と
いうことではないかと、僕は思うのです。
→物事は一般的に「結果」が重要ですが、毎回自分の努力がいい「結果」とし
て、実現するとは限りません。自分の才能や経験、外部環境、運によって結果
は大きく違ってきます。けれども、自分がなりたいと思う「理想」について、
努力をすることの過程に価値を見出せることができれば、人生は有意義なもの
と感じられると思います。
哲学での真理に、真・善・美というものがあります。自分の行動がこれに沿っ
ていれば、最終的な結果が思い通りでなくても、納得ができますし、一般的に
は真理に沿ったもので適切な努力があれば、かなりの理想は実現できるのでは
ないかと思っています。
■どんな人にお勧めか
村上春樹の人柄を知りたい人
暇な人
他人の悩みを聞いてみたい人
朝日新聞社 エ987円