『丸海を襲う厄災と感動の結末』
この物語はおそらく人にとって真の知性とは何かという話なのだろう。知恵遅れの少女ほうは何も持ってはいない。家も、面倒を見てくれる身内も、困った時自分で何とかする知恵も。それ故にほうはいつもまっしぐらに核心に辿り着く。ほうがつっかえつっかえ語る言葉は限りなく人の心を動かす。余計な事を知らず考えぬ時、人の心は何と罪が無く例えようも無く美しいのか。それ故丸海藩の人々は10歳のほうに藩の命運を託した。或いは罪の無い命を失う事になるかも知れないがこの子にしか出来ないのだと。神の怒りのごとく丸海藩を落雷と暴動と火事が見舞うクライマックスまで一気に読ませ感動間違いなしです。これを読んで泣かない人がいるとは信じられません。時代小説ファンも宮部みゆきファンも必見です。
新人物往来社 エ1,890円