『丸海の悪霊と無垢な少女』
四国讃岐国丸海藩は温和で豊かな海に面し金毘羅詣で賑わう平和な小藩であった。しかし藩には変事の予感があった。海に白い小さな波が立つとき土地のものはうさぎが飛んでいると言う。それは嵐の予兆であった。丸海藩は幕府から困難なお役目を仰せつかった。元勘定奉行という要職にありながら六人の人を殺害したといわれる船井加賀守守利の身柄をを預かる事になったのだ。加賀守は悪霊に憑かれ鬼に変じたと人々は恐れた。丸海に災いを運びこの地に古くから住む悪霊を呼び覚ますと。幕府の狙いは丸海藩が役目に失敗し藩を取り潰しにしてこの地を天領にする事であった。丸海藩を動かしている人々はそうはさせじと画策する。江戸から丸海に流れ着いた知恵遅れの少女ほう。丸海の人々は10歳のほうに藩の大事を託し加賀守の幽閉されている涸滝の牢屋敷に送り込む。読者をぐいぐい引っ張っていく時代小説です。
新人物往来社 エ1,890円