『2時間サスペンス等のテレビのファンには、うける』
シチュエーションは、解説通り。氏の代表作のような社会的背景や問題点、暗闇をつく・・・というようなこととは無縁の、軽いタッチの7話からなる連作集です。
扱う事件は、隣家の遺産相続長者、倉敷の模倣で町おこしの町長親子、参観日のすり替え騒動、人工湖から引き上げられた身元不明死体、文通で脅迫された奥さん、縁もゆかりも無い地方新聞を不自然に投げ込まれる一家、主要キャスト双子の各々の誘拐、と新聞の三面記事の片隅に載るような、ありふれた事件です。これらの変哲もない事件を、既定概念を打ち破り、裏読み深読みすると、真実が見えてくるというミステリーです。
何かの雑誌に連載していたものを、再収録したものらしく、1話1話に登場人物の相関説明が入り煩わしく、双子は中学生の設定にしては素直すぎ、幼い感じで小学校高学年くらいを想起してしまいます。7話経た読後も、登場人物の関係ぐらいしか、残るものはありません。この続編があるのか、復活用にとってあるのか判りませんが、ステップファーザーの関係や双子のの父母の失踪の謎にもう少し進展があってもいいのでは?と思います。これらの謎を完結編で、ぎこちない設定も物語最終話で、実はちゃんと意味があったんだよ!的なあざやかな決着をつけてほしいと思います。
講談社 エ650円