『多様性』
北村薫が集めた短編集はいつも楽しい。今回も昭和初期の作家の短編集で、当時の様子がよく分かるし、相当昔の話のはずなのに、登場人物の人情の機微に振れることが出来るものばかりだ。
もっとも、『名短編』という題名から、短編のベスト版と思って読むと少し期待とは違うかもしれない。作風に多様性を感じるし、個々の作品から色々なものを感じはするけど、これぞ短編のベストといわれると少し違和感がある。やっぱり、今までの短編集のようにテーマを絞った方がよいのじゃなかろうか?
また、宮部みゆきはホテルで対談に参加しているだけのように感じるのは気のせいでしょうか?題名と編者は見直してはいかが?
筑摩書房 エ819円