『怪奇調から合理的説明へ』
北村薫と宮部みゆきによる「半七捕物帳」からのピックアップ作品集の第二弾です。
この「半七捕物帳」の良さは、作品の構成が半七老人が語る話を書き写していると言うものであるだけに、語り口調であり、しかも、落語の様な「枕」があることです。
この「枕」があることによって、当時の時代の状況やその土地の状況が真っ先に理解出来ます。
その上で、落語か講談の様な物語の語りが、読者にじっくりと話を聞かせてくれます。
そこで語られる内容は、半七老人が若い頃に経験した「捕り物」の話です。
それは時に怪奇小説的な雰囲気に包まれていたりします。
でも、最後はきっちりと合理的な説明で終わります。
このバランスが非常にいいと思います。
どの作品も非常に良いのですが、個人的には「冬の金魚」「むらさき鯉」が私の好みにぴたりと嵌まりました。
筑摩書房 エ924円