『いいですね。』短編集ながら、茂七という岡っ引きを通しのキャラクターにすることで 「同じ世界」での物語感、言い換えると連続ドラマを見るような感覚で 全編がひとつの物語のようにも感じられる。 登場人物たちが、リアルな存在感を持って描かれていて 江戸情緒を楽しみながら、本所に住む人々の息づかいが感じられる。 殺人事件なども起こるが、全編とおして平和で穏やかな読後感がある。 読み返して、何度も味わいたくなる秀作。 新潮社 エ540円