『女性の心理描写がリアル。でも、男性は?』
実は宮部作品を読むのは、この小説が初めてです。
主要登場人物に女性が多く、彼女達の心理描写の細やかさとリアリティが、超能力処刑人という設定の荒唐無稽さをカバーしていて自然に読めました。(これは結構凄いことだと思う。)
逆に、細かい心理描写は女性キャラについてしか書かないという徹底した姿勢は潔くもある一方で、僕のような男性読者には読み足りないものがあったのも事実です。特に処刑シーンが続いてパワーで押せる上巻と違い、恋愛が絡んできて心理描写が中心になっていくこの下巻にはその傾向を感じました。
とはいえ、総合的にはクライマックスからラストの主人公の哀しさには十分感情移入できたので、星を4つつけます。
光文社 エ620円