『人間がもつ毒とは』
青酸カリという人間を死に至らしめる直接的な毒以外にも、シックハウス症候群や土壌汚染による喘息など症状が出ないと表面化しない毒、人を中傷したり自分が不幸だから他の人も不幸になるべきだといった理不尽な考えをする人間による毒、これらの名もなき毒に関する話を、無差別毒物殺人事件と絡めて展開するミステリで読み応えがあった。
個人的には、社内編集部のアシスタントのアルバイトをしていた原田いずみの言動が印象に残った。常に何かに怒っていて攻撃的で他人の幸せが許せない。特に原田いずみの父親が娘の過去の話はする場面が印象深かった。この話も実際には何が事実なのか分からないが、原田いずみがとてもつらく悲しい生き方をしてきたということが十分に伝わってきた。
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