『人間社会が生み出す「毒」』
人間社会或いは人間関係が生み出している「毒」。
それは、格差社会から生まれるものかも知れないし、もっと別の社会システムから生み出されるものかも知れません。
そうした「毒」に侵されて、社会の中に溶け込めない人たちが増えているのかも知れません。
毎日の新聞を読んでいると、ふとそんな気がしてきます。
もともとがそんな「毒」が元で引き起こされた事件だけに、何のトリックもありません。
従って、所謂「推理小説」の面白さを求めてはいけません。
むしろ、社会問題を扱った「一般小説」或いはせいぜい「犯罪小説」と言うところでしょう。
でも、ストーリー・テラーである作者の力を遺憾なく発揮して、読ませる小説になっています。
結構長い小説なのですが、ノン・ストップで読みたくなる小説です。
光文社 エ1,260円