『ただ、うまいだけ』
三浦さんって、うまいなあ。昔話を変容させてSFにしてしまうとはなかなか考えたものだ。プロットが優れており、小説を描く能力には高いものがある。ただし、技量があっても面白くなるとは限らないのが小説の難しいところで、正直、私にはいまいちだった。特に気になったのは、
主人公の一人称語りがわざとらしい。
ラストが投げやり。
技巧を凝らす必然性が感じられない。
といったところだろうか。物語の必然性が感じられないまま、文章のうまさだけが頭に入ってくるという、なんとも不思議な印象をもった。
幻冬舎 エ1,575円