『豪華で贅沢な言葉の競演』
梨木香歩や恩田陸の名前もあるし、友人の勧めもあって購入。
どれもが、本を題材に取り上げるか、本屋を舞台にしているか。そのため、書店員の仕事振りがのぞかれるものも多いし、名作を上手にパロディにしているものもある。作家の本というものへの思い入れを感じさせられることが多い。
短いけれども、どれも個性的で、本をどう活かすか、工夫がきいている。その上、最初と恩田陸と最後の三崎亜記が、全体に緩やかな一貫性を与えているところが、ぐっときた。
また、相性のよさを感じる作家と出会うこともあれば、残念ながらそれほどでもない作家と出会うこともあり、普段は読みなれていない作家との新しい出会いがあるのが、こういうアンソロジーだ。
どうして、こんなに本に惹かれるのだろう。ふと思えば、本は言葉によって綴られる。言葉にはどれだけ人の気持ちがこめられていることか。私が本に惹かれるのは、本を介して人に触れられるからだ。
本というものが、改めて愛しく感じられた。本好き、本屋さん好きの人に勧めたい。できれば、自分ではあまり本を買わないという人にも。
メディアパル エ1,365円