『ビートルズはほんとに永遠か?』
ビートルズ所縁の土地の今現在を訪ね歩く興味深いが、さして新しくない企画。出版社としては、リリー・フランキーという売れっ子キャラを使った事で一応面目を保った積りだろうが、これは明らかなミスキャスト。1963年生まれのリリーにとって、ビートルズはリアルタイムで経験していない個性集団。しかし、ここに「書かれていること」には、もはや何ら新しい発見はない。
多分、どこかのメディアに書かれていたものとか人から聞いた事をそのまま 転記したのだろう。
写しじゃなく、リーリーが現地で発見した事をリーリー自身の言葉で書いてもらいたかった。
それでもこの本を買ってしまうのは、「ビートルズもの」は、一応そろえてみようという「B’sフリーク」にとっては、いまのアビー・ロード、ペニー・レイン、ストロベリー・フィールド、メンディップス・アヴェニュー等々がどうなっているのかが気になるからだ。
だから、「本当のビートルズ・ファン」にとっては、所縁の場所の写真はもっと綺麗に撮ってほしかった。もっとすっきりした格好で、無精ひげも剃って。
同じ企画をもう一度、今度は中山康樹にしてもらいたい。まったく違ったルポになるはずだ。
新潮社 エ1,680円