『"entertainment"じゃない』
一気に読了した。自分が高校生だった頃を思い出した。根拠なく優越感に浸り友人を軽蔑したかと思うと、底なしの劣等感に悩み他人をうらやみ…。他人に親切にしてそうで実は残酷なことをしている。でも自分では気がつかない。てな具合に自分の内面は相当ドロドロしていた。けど自分の中では多分首尾一貫していたんだと思う。多感な時期とはあの時のことかって思う。この小説はそんな自分の内面に、長い年月を経て改めて向き合うことができた作品。
一人称の形で書いてはいる(けれど/から)、登場人物たちには全てが明らかになっているわけではない。全体を見渡せる読者にだけわかる関係性。読み進めるにつれてそれがわかってくるので巻措く能わずなんでしょう。
万人向けとは思わない。今までの自分を振り返って、いいとこも悪いとこもちょっと余裕を持って語れる人にはゼヒ読んで欲しい。大学生以下は読んでもつまんないと思う。男の人はなんだこりゃって思うでしょう。ハッピーエンドが好きな人は読んじゃダメ。自分があまり好きになれないって人にも勧めない。
早川書房 エ1,470円