『男女問わず、片思い経験者の心の琴線に触れる・・・。』
本作は、海老のように華奢でマイペースなマモルを好きになってしまい、
とことん尽くし、いつか両思いになれることを夢見つつ、
崩れ落ちそうになる自分を支えながら歩むテルコの切ない物語です。
客観的に見れば何の魅力も感じられないマモルを、テルコは愛さずにはいられない。
マモルのためなら、時間も仕事も乏しい貯金をもなげうってでも最高の努力をする。
マモルに嫌われないように、また、ごく自然体で可愛い自分を見せられるように、
マモルの知らないところで涙ぐましく立ち回る。
でも、テルコの思いは届かない。
来るはずもない連絡を待ちわびて、携帯を何度もチェックする。
マモルの顔色をうかがい、ちょっとしたそぶりに一喜一憂する。
見るに見かねた親友葉子の忠告も馬耳東風。
そして、そんな葉子に片思いするナカハラ、彼は実は重要な脇役であると思います。
終盤、ナカハラの選んだ道とは?また、結末、テルコの進もうとする道は?
特に後者は、思わぬどんでん返しといった感があり、切なさが募りました。
角川書店 エ500円