『泣けますが。』
この作品を読んで、(私は)とても前向きには考えられませんでした。救いようのない寂しさに襲われました。襲われる、というか、思い出す、という感じ。私はこういう風に寂しかったんだと、思いました。
特に「ジミ、ひまわり、夏のギャング」は、読みながら、泣きそうになりました。心がぽっかりあいて、正直、二度と読みたくない。よくこんな寂しい話が書けたのだなぁと感心しました。やはり自分と重ねてしまった時に、泣ける。自分と重ねてしまったら、泣ける、というのはもうしんどいです(私の勝手な感想ですが)。まったく自分とは似てもにつかない境遇なのに、ただ「感情移入」という形で泣ける小説が読みたいですね。
文藝春秋 エ580円