『ふり、ふられの恋愛連作短編集』
主人公は最後に必ずふられ、そのふった張本人が次のお話の主人公になる。
そして次のお話でも主人公はふられ、ふった人が次の主人公で・・・と続く物語。
最初の3つくらいを読むとこのシステムに気づくでしょう。
つまり、どんなにいい感じでつきあってるカップルでも最後には別れるってわかってしまう。
結末が想像できる・・・はたしてこれはいいことなのか、面白みのないことなのか。
手痛い失恋をしたとき、「もう二度と恋なんてしない」なんて思ったりするけど、本当にそうできる人なんていない。
恋する気持ちはそんな風にコントロールできるものではないはないわけで、
かつて私をふったあの人も、私がふったあの人も、
きっとどこかでまた誰かに出会って恋をしたんだろうなぁと、しみじみ恋の不思議を感じました。
最後の2つのお話のまとめ方はうまいけど、角田さんにしては小粒の作品だと思います。
新潮社 エ1,575円