『ちょっとつらかった。』
ありえない設定とか、時代考証とか、そんなものはどうでもいい。だって彼はそういう作家なのだから。SFやアニメなどと同じく、エンターテインメントにおいてリアリティというのは、その物語内だけで成立していれば良いのだ。現代と比べる必要はない。そういう意味ではすごい才能を持った作家だと思う。ただどんな作品でも、やっぱりページを捲らせる力は必要で、その点に関してはよろしくなかった。無駄な文章が多いせいだろうか。もっとすっきり削ってほしかった、というのが正直な感想です。「シャングリラ」が素晴らしく面白かっただけに、残念です。
角川書店 エ860円