『けっこう薄く幅広く読める』
メイン特集は劇団ひとり、NHK教育TV、SFの三本。各コーナーごとにロングインタビューと編集部選のガイドがある。
どの特集も興味が薄くとも読ませてくれるが、中でもSFは対談が2つ(筒井康隆×菊地成孔と谷川流×佐藤大)と面子が濃い。時期的に映画「時をかける少女」公開宣伝も兼ねたものらしいが、二人は完璧にそんなこと気にしてなく(笑)、筒井氏の文学スタイルとジャズの関係の話し合いがメイン。菊地氏の審美眼がどういう風に出来上がったのかが良く分かる。なるほど、ツツイズムの継承ね。映画の宣伝にはあんまりなっていないが、筒井氏、菊地氏に興味がある人にはとても面白い。一応その後映画の宣伝をフォローするように細田監督のインタビューと映画のイラストとラフ画が急にドーンと出てきて、ある意味どフリーな凄いやっつけ感(笑)があってとてもいい。
後半の谷川氏と佐藤氏のインタビューは良くも悪くも正統高尚にSFを話していて、谷川氏の名前を見て食いついた人へのサービストークはほとんどない。クロスオーヴァーなサブカルを求める本誌よりもSFマガジンで組んだ方がいいような内容。
この雑誌は特集が毎回どれもそれなりに面白いが、連載系の記事がイマイチ。特集のポップさとは裏腹に、連載記事が70年代?80年代初期サブカル的センスから抜け出てないのがなんともなんだよなぁ。
太田出版 エ945円